2025.11.10

R&D お知らせ

株式会社フェイガー、ウガンダ共和国/カーボンクレジットを活用した収益性・生産性を高める環境配慮型稲作の実証事業が、経済産業省の令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)に採択~10月より事業を開始~

株式会社フェイガー(本社:東京都千代田区、代表取締役:石崎 貴紘)は、2025年8月1日、ウガンダ共和国/カーボンクレジットを活用した収益性・生産性を高める環境配慮型稲作の実証事業が経済産業省の令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)に採択されたことをお知らせします。
この度、採択された事業は、ウガンダ国における、環境配慮型稲作技術の導入を通じたカーボンクレジットの生成により、稲作の生産性・収益性向上と脱炭素を両立する事業の技術的有効性及び事業性を検証することを目的としています。


*令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金
 (小規模実証・FS事業)特設HP




<事業の背景>
ウガンダでは近年コメ需要が急増し、政府は国家稲作振興戦略(NRDS※1)を策定、農業畜産水産省(MAAIF※2)や国立穀物資源研究所(NaCRRI※3)が技術開発・普及を推進しています。その結果、稲作面積は2008年の8万haから2024年には26万haに急拡大しました。

また、同国は気候変動対策も重視しており、国別削減目標(NDC※4)の中で稲作を温室効果ガスの主要排出源と位置づけた上で、気象変動対策と農家の収益性を両立させる気候レジリエンス技術の開発に取り組んでいます。2025年4月には農業系カーボンクレジットの法規制も施行され、NaCRRIが方法論登録に向けてバイオ炭施用や水田の間断灌漑(AWD)の技術開発に着手するなど、カーボンクレジットの事業化が期待されています。

そこでフェイガーは、本補助金を活用し、ウガンダ東部ムバレ県のドホ灌漑地区(合計約2,000ha)内の一部区画において、バイオ炭の施用およびAWDの導入による農業生産と温室効果ガス抑制の効果を定量化し、カーボンクレジットの創出を含めた事業性を検証することとしました。フェイガーは、10月に開始した本事業に先立ち、日本国内および東南アジアにおいて、すでにこれら2つの方法論に基づくクレジット創出に取り組んでいます。

<バイオ炭施用>
バイオ炭とは、木炭や籾殻くん炭のように生物資源(バイオマス)を材料とした炭化物であり、土壌改良剤です。バイオマスに含まれる炭素は、 そのままにしておくと微生物の活動等により分解され、二酸化炭素として大気中に放出されますが、バイオ炭化して土壌に施用することで、その炭素を長期に渡って土壌に閉じ込めておくことができます(炭素貯留)。温室効果ガス(GHG)の排出削減と空気中からの吸収・除去の両方が必要とされている中、吸収・除去においてはバイオ炭のポテンシャルが大きく、農業分野が大きく貢献できる領域となっています。また、土壌改良による減肥や収量増加の効果も期待できます。

<間断灌漑>
間断灌漑(AWD)とは、水田での水管理技術で、イネの播種後の活着期と開花期を除いて一定期間、水を抜いて土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返す手法です。この方法は、土壌の嫌気状態にある期間を減少させることで、GHGの一種であるメタンガスの発生を抑制することができると同時に、水の使用量を減らすことができます。

<見込まれる効果>
ウガンダの水田へバイオ炭施用とAWDを導入することで、土壌改良効果等による収量の向上に伴い、現地農家の収入増加が見込まれます。これに加え、クレジット販売額のうち手数料を除いた部分が農家の追加収入となるため、稲作農家の収益向上に直結します。
本事業を通じてウガンダの稲作農家とのネットワークが構築され、さらに所得向上に伴って農家の購買力が高まることで、日本からウガンダへの農業関連製品・サービス(農業資材や耐候性資材、スマート農業機器、農業DXツール等)の輸出拡大が見込まれるため、日本企業のアフリカ市場での事業規模拡大も期待されます。


※1  NRDS:National Rice Development Strategy
※2  MAAIF:Minister of Agriculture, Animal Industry and Fisheries
※3  NaCRRI:National Crops Resources Reseach Institute
※4  NDC: Nationally Determined Contribution


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