2026.10.30

R&D お知らせ

フェイガー、畜産由来J-クレジット創出へ 排せつ物管理方法論(AG-002)のプロジェクト登録完了



生産者への高い還元率と市況に応じた追加還元、農業支援を組み合わせ、畜産経営を支える

株式会社フェイガー(本社:東京都千代田区、代表取締役:石崎 貴紘、以下「当社」)は、J-クレジット制度※1の方法論「家畜排せつ物管理方法の変更(AG-002)」を活用し、家畜排せつ物から発生するメタン(CH₄)※2と一酸化二窒素(N₂O)※3の排出削減に取り組むプロジェクトについて、2026年9月29日の第70回認証委員会にてプロジェクト登録されたことをお知らせします。

本プロジェクトは、複数の畜産事業者が会員として参加するプログラム型プロジェクトです。牛(乳用牛・肉用牛)、豚、鶏の排せつ物の管理方法を、堆積発酵などから強制発酵など温室効果ガスの排出が少ない方法へ変更する取り組みを対象とします。すでに強制発酵設備を導入済みの事業者も、稼働開始から2年以内であれば参加できます。

当社は、水稲の「中干し期間の延長」で全国の生産者とともに築いてきた、生産者への還元を重視する仕組みや生産者ファーストの申請サポート体制、農業支援の知見を畜産分野にも生かし、クレジットの収益と農業支援の両面から、畜産事業者の経営の持続を支えます。

※1 J-クレジット制度:省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理等による温室効果ガスの排出削減量・吸収量を、国がクレジットとして認証する制度。
※2 メタン(CH₄):二酸化炭素(CO₂)の28倍の温室効果を持つとされる気体(100年間で比較した場合)。
※3 一酸化二窒素(N₂O):CO₂の265倍の温室効果を持つとされる気体(同上)。


J-クレジット制度 プロジェクト登録証

■ 背景:畜産における排出削減と、事業者の負担

国内の農林水産分野の温室効果ガス排出量は4,638万t-CO₂(2024年度)で、このうち家畜排せつ物の管理に由来するものが約555万t-CO₂(CH₄ 248万t、N₂O 307万t)と、大きな排出削減ポテンシャルのある分野です。一方、AG-002方法論で認証されたクレジットは、2026年8月時点で累計6,898t-CO₂にとどまります。

出典:農林水産省「農林水産分野におけるカーボン・クレジットの拡大に向けて」(令和8年9月)、同「畜産環境をめぐる情勢」(令和8年10月)。排出量の元データは国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス。

強制発酵は、排せつ物に空気を送り込んで好気的に分解を進めることでメタンの発生を抑える方法で、堆肥化期間の短縮や切り返し作業の省力化にもつながります。一方で、設備の導入費用や電気代が事業者の負担になります。J-クレジット制度では、AG-002のように追加性の評価が省略されない方法論の場合、設備の投資回収年数が3年以上、またはランニングコストが増えることが登録の要件です。クレジットの収益は、この負担を補う収入になります。

出典:J-クレジット制度 実施規程(プログラム型プロジェクト用)Ver.1.3 2.2.5、方法論AG-002 Ver.3.1

■ プロジェクトの概要

本プロジェクトでは、従来の管理方法を続けた場合の排出量と、変更後の排出量(設備の電力・燃料の使用による排出を含む)との差を算定し、第三者による検証と認証を経てJ-クレジットとして発行されます。

・プロジェクト名称:家畜排せつ物管理方法の変更による温室効果ガス排出削減プロジェクト(プロジェクト番号:JCS-PJP00454)
・参加する畜産事業者: 排せつ物の管理方法を変更し、飼養頭数・飼養日数、排せつ物の管理方法、設備の稼働開始日や導入費用、電力・燃料の使用量などの記録を提供します。
・協業先:事業者の紹介や、申請に必要な情報の収集を支援します。
・フェイガー:参加条件の確認、申請に必要な情報の整理、排出削減量の算定、検証・認証の手続き、クレジットの販売、事業者への収益還元を行います。
・参加の条件と仕組み
・対象となる家畜:牛(乳用牛・肉用牛)、豚、鶏
・導入済みの設備:稼働開始日が入会申込日の2年前以降であれば対象です。設備の稼働前から入会することもできます。
・対象期間:各事業者の認証対象期間は8年間です。さかのぼってのクレジット化はできないため、早く参加するほど対象期間が長くなります。
・参加方法:当社が運営する「フェイガー脱炭素農業協会」への入会 ※入会費無料

プロジェクト計画では、認証対象期間全体で100万t-CO₂超の排出削減を計画しています。

なお、今回の発表はプロジェクト登録の完了に関するものです。クレジットは、実際の取り組み後にモニタリング、第三者による検証および認証を経て発行されます。初回のクレジット認証は2027年中の申請を予定しています。
方法論:J-クレジット制度 AG-002 Ver.3.1


カーボンクレジットのビジネスモデルの図

排せつ物管理方法の変更の図

■ 事業者への還元:高い還元率と、市況に応じた追加還元

本プロジェクトでは、クレジットの販売額のうち事業者に戻る割合を高く設定し、還元の条件を年度ごとの基準価格として事業者と合意したうえで取組を行っていただきます。基準価格は市況に合わせて毎年見直し、市況が良い場合には追加の還元も行います。販売時の価格変動や在庫のリスクは当社が負い、事業者には認証されたクレジット量に応じて、認証後すみやかにお支払いします。

当社は水稲の「中干し期間の延長」で同じ仕組みをすでに運用しており、2026年3月に認証された約22.5万t-CO₂のクレジットについて、翌4月に生産者への支払い手続きを完了しています。この実績を畜産分野にも展開します。

■ 今後の展望:クレジットにとどまらない農業支援

当社は水稲の中干し期間の延長で、2026年3月に225,735t-CO₂の認証を取得し、2026年度は約3,600戸・約6.5万haの生産者がプロジェクトに入会しています。また、高温や乾燥に強い稲作を支える「耐候性レシピ」の実証を、全国約20か所の事業者とともに進めています。


緩和・適応の事業コンセプトの図

畜産分野でも、クレジットを事業者との関係の入口として、畜産経営の課題に一緒に取り組みます。堆肥の出口の確保や、堆肥とバイオ炭を組み合わせた資源化、耕種農家との連携による資源の循環に加え、クレジットの収益を暑熱対策など気候変動への適応に生かす取り組みも検討しています。具体的な内容は、決まり次第あらためてお知らせします。

■ 畜産由来J-クレジットの参加・協業パートナーを募集します

次の方を募集しています。
・強制発酵設備を導入済み、または導入を検討している畜産事業者の方
・事業者のご紹介や堆肥の活用などで協業いただける事業者の方
・畜産由来のJ-クレジットの調達を検討している企業の方
ご関心のある方は、お問い合わせください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000103.000114514.html

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