2025.10.28

お知らせ

田植えから収穫、そして流通の現場へ――フェイガー社員が岩手・新潟で研修を実施

フェイガーでは、持続可能な農業を支えるために、現場を自らの手で理解することを大切にしています。その思いから、今年から社員が実際の農作業を体験する社内研修を実施しています。

春に田植えを行った岩手県一関市のフェイガー社員・阿部さんの農場で、秋の収穫を迎えました。収穫したお米の一部は、日ごろお世話になっている企業やパートナーの皆さまへの「フェイガーお礼米」としてお届けします。

さらに別日程では、JA全農にいがたと全農パールライス(株)新潟支店のご協力のもと、米の低温貯蔵倉庫と精米工場を見学。
田植えから収穫、そして流通まで――お米が食卓に届くまでの一連の流れを学び、現場と向き合うことの大切さを改めて実感する機会となりました。

一粒のお米の重みを、手で感じる
秋晴れの空の下、社員たちは鎌を手に黄金色の稲を刈り取りました。
地域の農業法人「道の郷シンフォニー」の皆様のご指導の下、一束ずつ丁寧に結び、この地域で”ほんにょ”と呼ばれる伝統的な方法で干す作業は、一見単純なようでいて、体力と集中力、そして作業する者同士の連携を要するもの。
手を動かすごとに、普段業務で扱う「データ」や「クレジット」の元にある、生産者の努力を肌で感じる時間となりました。





現地では、現役農家でありフェイガー社員でもある阿部さんが、生産者としての想いを語りました。

「近年、著しく変化する環境に農家は美味しいお米を生産する努力を重ねています。私たちお米農家とそのお米を食べる方々が互いに理解を深めることが大切です。
食べる価値の共有ができるお米づくりをこれからも続けていく思いが一層強くなりました。参加したメンバーの生産現場を大切にする思いが何より嬉しかったです。」
― フェイガー社員・阿部さん(岩手県一関市)


写真:社員に思いを語ってくれる阿部さん。
収穫後に、地域の公民館をお借りして、お母さんたちが作ってくださった新米”にじのきらめき”と”銀河のしずく”と、”いもこ汁”のふるまいをいただきました。


収穫から流通へ――見えない努力を知る
別日には、新潟県内でJA全農にいがたと全農パールライス(株)新潟支店の協力を得て、米の低温貯蔵倉庫と精米工場を見学しました。
収穫後のお米がどのように品質を保ちながら流通していくのか――。
現場では、温度・湿度管理、精米歩合の調整、異物除去や衛生管理まで、見えないところに多くの工夫と努力があることを学びました。

見学した「新潟米広域集出荷施設」は、全国でも有数の規模を誇る連倉(全農の共同倉庫)です。
20,000トンを収容できる10室の低温倉庫では、年間を通して温度15℃・湿度60%に保たれた環境で米を保管。
生産者の大規模化や流通の効率化に対応するための拠点として、検査から入庫までを一気通貫で行える体制が整えられています。
社員からは、「米という一粒の商品を守るために、これほど緻密な管理がされていることに驚いた」との声が上がりました。





続いて見学した「JA全農新潟精米工場」は、JA全農グループの基幹となる精米拠点で、国際的な食品安全認証FSSC22000を取得。
新潟で収穫された玄米を新潟で精米する“産地精米”のモデルとして、国内外への輸出も視野に入れた品質管理体制が構築されています。
1日最大80トンの処理能力を持ち、最新鋭の設備によって異物除去・粒度調整・モバイルタンク保管などが自動制御で行われています。
社員たちは、立体駐車場のように米をタンクごと収納する独自の保管システムを目の当たりにし、
「このような設備の存在が、日本の高品質なお米の安定供給を支えていることを改めて感じた。」
「自分たちが関わる“農業由来カーボンクレジット”の背景に、これほど多くの人と工程があると改めて感じた」
と語りました。

見学を通じて、社員一人ひとりが農業の現場の先にある流通と仕組みを体感し、フェイガーの目指す「環境価値と生産現場の共存」をより具体的にイメージする時間となりました。






社員の声
研修を通じて、参加した社員からは多くの気づきが生まれました。
現場の大変さを体感したことで、日々の業務や社会とのつながりを改めて意識するきっかけとなりました。

・現場から学ぶ、稲作のリアル
初めて稲刈りを体験し、作業の大変さや手間を肌で感じました。
機械化や地域ごとの工夫にも多くの学びがあり、農業がいかに自然と密接に向き合う仕事かを実感しました。

・産業としてのスケールと価値
収穫後の保管・精米施設の見学では、巨大な設備投資や高い技術によって品質が支えられていることを理解しました。
「日本のお米が高いのは当然」と納得できるほど、産業としての規模と責任を感じました。

・事業への理解と誇り
現場を体験することで、フェイガーが取り組むカーボンクレジットや研究開発の意義がより具体的に見えました。
“現場に根ざしたビジョンを掲げ実行する信頼できる会社である”と感じました。
リモートワークの方が多い会社なので、スタッフ同士のコミュニケーションの場としてもありがたかったです。



フェイガーが目指すこと
フェイガーは、生産者・企業・地域がそれぞれの立場を尊重しながら、共に環境価値を生み出す「協働の農業モデル」を目指しています。
農地から排出される温室効果ガスを減らす脱炭素型の農法を推進し、削減量をカーボンクレジット化することで、気候変動の緩和に貢献。 同時に、気候変動の影響に強い農法や資材の研究開発、地域との連携を通じて、変化に適応できる農業の実現にも取り組んでいます。

フェイガーには、農業・環境分野の博士研究者や、行政で営農指導を行っていた経験者、そして現役の生産者(農家)として活動するメンバーが在籍しています。
科学的知見、行政現場での経験、そして日々の農作業を通じて得られる実践知――それぞれの専門性が重なり合うことで、理論と現場の両面から持続可能な農業を支える体制を築いています。

こうした多様な知見と現場経験の融合こそが、フェイガーの活動の根底にある「現場への深い理解」と「生産者と共に歩む姿勢」を支えています。
現場の苦労や季節ごとの作業を理解しているからこそ、生産者との対話がより丁寧に行われ、カーボンクレジットの生成や申請手続きにおける負担を減らすことにもつながっています。

フェイガーは、現地での対話や実証を重ね、数字やデータだけでは捉えきれない「現場のリアリティ」を起点に、確かな価値を社会へとつなげています。
今回の研修は、フェイガーが大切にしている「現場から始まる共創」の象徴です。

創業から3年目を迎えた今、改めて“現場と共に考え、行動する会社”としての原点を確かめる機会となりました。



これからも、農業と共に
フェイガーはこれからも、生産者・企業・地域が連携し、環境価値と地域の未来を両立させる仕組みを広げていきます。
現場と共に歩みながら、持続可能な農業の実現に挑み続けます。




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