2026.02.25
企業と農業の現場をつなぐ視察レポート
― 生産者・企業・フェイガー、それぞれの立場から見えたこと ―
株式会社フェイガーは、カーボンクレジットの提供に加え、その背景にある農業の現場や生産者の考えを、企業が直接知る機会を大切にしています。
今回実施した農業現場視察は、脱炭素の取り組みを「数字」や「制度」だけでなく、実際に取り組む生産者の視点から理解してもらうことを目的としたものです。
視察概要
本視察では、埼玉県桶川市で水稲栽培を行う有限会社ゴールドマム様を訪問しました。
圃場およびライスセンターの見学に加え、生産者へのインタビュー、視察参加企業との意見交換を行っています。

ライスセンター見学の様子
農業現場での課題と工夫
近年、ゴールドマムが強く感じているのは、高温化や少雨といった気候変動の影響です。
水管理や除草など、日々の作業負担は年々増しています。
その中で、作業時間の調整や設備・資材の工夫を重ねながら、「家族経営でも続けられる形」を模索してきました。
脱炭素の取り組みで得られた収益も、こうした営農を支えるための再投資に活用されています。
視察当日は、水不足への対応をはじめ、資材や技術導入における工夫、除草・雑草対策とそれに伴う作業負担、さらには経営面・設備面の実情について、現場に即した具体的なお話を伺いました。実際の農場運営の中で直面している課題や、その背景にある考え方まで丁寧に共有いただき、理解を深める貴重な機会となりました。

圃場で水管理をする水口の説明の様子
脱炭素の取り組みを、営農につなげる
脱炭素の取り組みで得られた収益は、ゴールドマムにとって新たな挑戦や営農を支えるための原資となっています。
機材・資材の導入や、水口の修繕、除草対策など、日々の農業を安定して続けるための部分に再投資することで、「環境への配慮」と「経営の継続」を両立させてきました。
こうした取り組みについて、ゴールドマムは次のように捉えています。
「ゴミの分別と同じ。やろうと思えば誰でもできる。」
特別なことではなく、農業を続けていくための一つの選択肢として、脱炭素の取り組みを現場に根づかせています。
視察に参加した企業の声
視察に参加した企業からは、次のような声が寄せられました。
生産者から水田中干の現場や実情を直接聞くことで、農業の大変さと同時に現場ならではの工夫を実感する機会となった。
カーボンクレジットが資材購入や新技術導入に活用されていることや、「ゴミの分別と同じ」という分かりやすい例えを通じて、取り組みをより身近で実体のあるものとして捉えることができた。
今後も農業を支えていきたいという思いが深まった。
生産者の感想
農業の実態を知ってほしいという思いから、今回の視察を受け入れました。
参加される企業名は事前に知っていましたが、正直なところ、なぜ農業支援に関心を持っているのかは分かっていませんでした。
実際にお話ししてみると、いくつかの企業が農業と密接に関係していることが分かり、大きな学びがありました。
また、直接的に農業との関わりがない企業であっても、どのような思いでカーボンクレジットを通じて農業を応援しているのかを知ることができた点は、とても嬉しく感じています。
地域課題や農業の現場を、実際に見て、感じたことを共有いただけたこと自体に大きな意義があると感じました。現場を見た上での「こんなことができるのでは」という意見や提案は、ぜひ今後もいただきたいと思っています。

ゴールドマムのみなさま
フェイガーがこの視察で目指していること
フェイガーは、カーボンクレジットの創出や流通、そして耐候性ソリューションの研究開発を通じて、農業が気候変動の中でも持続的に続いていくための選択肢を広げることを目指しています。
今回の視察は、単に取り組みを紹介する場ではなく、生産者が直面している課題や工夫を現場で共有し、次の取り組みを共に考えるための起点として位置づけています。
フェイガーは今後も、生産者・企業・研究開発が交わる場としての視察を継続しながら、農業の持続可能性そのものを高めていく取り組みを進めていきます。
生産者紹介
有限会社ゴールドマムは、埼玉県桶川市において400年以上にわたり代々農業を続けてきた農家です。
現在は約41haの圃場で水稲を中心に、野菜や果樹の生産にも取り組んでいます。
生産・流通体制の強化を目的にライスセンターを新設するなど、営農を継続するための環境整備も進めてきました。
2024年度よりフェイガーの脱炭素プロジェクトに参加し、水稲栽培における中干し期間延長に取り組んでいます。


