農地を守り、未来につなぐ。都市近郊で広がる持続可能な農業のかたち。
埼玉県桶川市 有限会社GoldMum
Profile
ゴールドマムは、約400年前に埼玉県桶川の地に居を構えて以来、山伏や寺子屋などを営みながら農業も続けてきた家系にルーツを持つ農家。
6年前には農業に特化した有限会社を設立し、現在は親子三世代で農業経営を行っています。規模の拡大を続けながらも、家族で代々受け継ぐかたちを大切にしており、その在り方は地域における一つの理想形とも言えます。
現在は約50町歩*(自作20町歩・受託30町歩)の農地を管理し、この地域では最大規模の経営体の一つとなっています。都市近郊という特性の中で、地域農業を支える存在としてその役割を担っています。
*1町部=約1ha
(写真:テレ東「昼めし旅」収録時の集合スナップ)
白根金明、坂井布子様
埼玉県桶川市 有限会社GoldMum

Background
桶川エリアは水稲に加え、野菜や果樹も含めた農業が盛んな地域ですが、市街地に近いため農地は住宅地の間に点在し、効率的な営農が難しい環境にあります。
ゴールドマムの農地も桶川市、伊奈町、久喜市、加須市、鴻巣市などにまたがる飛び地で構成されており、圃場間の移動だけで往復1時間以上を要することもあります。1人あたり約10町歩を担当する中で、広域かつ分散した農地の管理負担は大きい状況です。
機械化は進めているものの、農業機械の購入費用に加え、1台あたり1日約100リットルの燃料を消費し、昨今の世界情勢による燃料費や資材価格の高騰が経営を圧迫しています。加えて、水口バルブなどの資材は盗難被害も発生しており、修繕や代替対応のコストも増加しています。
水管理も大きな負担の一つで、50町歩規模では水口の開閉確認だけで1日では回りきらないこともあります。こうした中でも、高齢化に伴う受託増により規模は拡大しており、苗の運搬など機械化しきれない作業による身体的負担も依然として残っています。
また、近年の気温上昇により、労働時間も調整が必要です。6月頃からすでに日中は暑くて屋外での作業が困難なため、早朝5時〜11時で一旦作業をやめ、また夕方から再開するといったサイクルで体調管理にも気をつけています。
一方で、若手の参画も進み、ドローンやリモコン草刈機などの導入、SNSやJAを通じた情報収集を活用しながら、現場の改善を図っています。
(写真:大型機械を導入した自社ライスセンターの様子)
Value
ゴールドマムでは、「環境に良いことであれば取り組むのが当たり前」という考えのもと、中干し期間の延長などの施策を全圃場で実施しています。
周囲からは難しいと見られることもありますが、「ゴミの分別と同じで、慣れれば当たり前になる」という認識で、特別な取り組みではなく日常の営農の一部として定着させています。
クレジットによる収益は、水管理設備や資材費、修繕費などすべて現場への再投資に充てられており、規模拡大に伴うコスト増への対応にも活用されています。
また、水不足や高温障害への対策として、マイコス菌の活用など土壌や根の力を高める取り組みも進めており、環境施策と生産性の両立を図っています
(写真:視察企業へ熱心に自社の取り組みを説明するゴールドマム坂井さん)


Future
電力会社だからこそできる後押しで
地域に寄り添う農業支援の新展開へ
農業経営は長年厳しい価格環境にあり、過去には米価が低迷する時期も続いてきました。近年は価格上昇により一定の改善が見られる一方で、消費者への負担増に対する葛藤も抱えています。
そのため、販売先には環境施策を前面に出すのではなく、まずは安定供給を重視しています。一方で、農政の場などを通じて現場の実態や取り組みは着実に共有しています。
農業を取り巻く環境は依然として不安定ですが、「50年後を考えると今やらなければ間に合わない」という危機感のもと、地域の農地を守りながら持続可能な農業の実現に向けた取り組みを続けています。
(写真:三世代で農作業を行っている様子)
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